父親たちの星条旗

父親たちの星条旗
なかなかに、渋く、重く、そして淡々とした調子で、誰に加担するでもなく、誰を憎む訳でもなく、戦争により狂わされた人々をただ静かに描いていく。派手ではなく、深く立ち入りもせず、見た人それぞれに考えさせるような、そんな見ごたえのある作品でした。
硫黄島での戦いのシーンは迫力があり、見ごたえは十二分。とはいえここでも派手過ぎる効果やムチャな演出もせずに、ただただ、戦争の非情さ、無残さを、淡々と、そして雄弁に語りかける。
とかく映画作品としては、こういう題材はお涙頂戴にしたり、分かりやすいヒーローを作ったりして、監督の意図を押し売りすることが多い気がする。でもこの作品は押し売りせず、個人個人で受け止め考える余地を与えていると思う。
わび・さびの効いた、見ごたえ、考え応えのある作品です。


私的評価:★★★☆