ブレイブストーリー

映画を見たあとに原作が気になり買ったはいいけども、時間が取れずになかなか読めなかった本作。やー、ようやく読み終わりました。

ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫)

 ブレイブ・ストーリー (中) (角川文庫) ブレイブ・ストーリー (下) (角川文庫)
なるほど、さすがは宮部作品で、ヒトの闇の描写が映画とは比べ物にならない。現世でワタルの周りで起こるきっかけの事件、特に母親の行動、狂気が生々しく語られていく所は、物語により一層影を落とす。その後は映画と同じくファンタジー路線に進むが、それでも世界の所々に、ひっそりと、でも深く色濃く闇が潜んでいる。そういった闇の部分を描く事により、少年の成長物語という主題がよりリアルになってると感じた。
とはいえやはり、この原作をそのままアニメにしてしまうと、ちょっと見る人を選ぶ作品になってしまいそう。少なくとも小学生に無邪気に勧めるのははばかられるかもしれない。現世での事件をさらりとかわし、ワタルとミツルという少年達の物語にした映画版も、それはそれで正しい選択だと思う。
そんなわけで、映画を見て面白いと思った人、また物足りない、ぬるいと感じた人にも、小説版も読んでみるとおもしろいかも、です。映画を見たあとなら彼らの姿・活躍がより一層鮮やかに頭に蘇えります。ひたむきなワタルと仲間達にオイラのユルユルな涙腺はまたもや崩壊しまくりだったし。ボリュームもあるけども、なかなかに読み応え、アリでした。
小説見てから映画にしちゃうと、映画が物足りなくなるかもね。